2014年11月21日(金)奇想天外! 浮世絵師 歌川国芳の世界

  • ジンジャくんにたしなめられたので京都駅のジェイアール京都伊勢丹美術館「えき」で「奇想天外! 浮世絵師 歌川国芳の世界」を見て来たよ。

  • (2014年11月22日(土) 午後10時57分59秒 更新)
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奇想天外! 浮世絵師 歌川国芳の世界

京都駅ビル7階にある美術館「えき」。ICOCAで支払うと2百円引きになる。

ジンジャくんお説ごもっとも!

Twitterで、

とつぶやいたら、日光にある小杉放菴記念日光美術館のオリジナルキャラクター、ジンジャくん(@jinja_khmoan)に、

と速攻でたしなめられたので、次の日さっそく見に行って来た☆

結論から言うと、ジンジャくんが完全に正しかった。実物は断然好かったです。前に展覧会で浮世絵を見たとき、図録で見る印象と大して変わらないと思ったのは、単にそのとき見た絵をおもしろく感じなかったからだと思う。

国芳おもろい。ほんとおもしろい。このセンスは現在でも余裕で通じる。浮世絵も国芳も全然知らなかったけど、前から一度見たい見たいと思いながら、見逃してばかりだったので、今回じっくり見られてよかった。

ちなみに図録は買わなかった。なぜかといえば、印刷がてかてかしていて、色がどぎつく感じられ、実物の印象とあまりにちがっていたから。それに大判三枚の迫力ある絵が、小さく縮小されていたのにもがっかりした。二枚ならA4見開きで多少縮小される程度だけれど、三枚入れようと思うとどうしても小さくなりすぎてしまう。

それで帰りがけ本屋で国芳の浮世絵が載った本を色々見てみたんだけれど、手頃な価格のものはどれも印刷がてかてかしていて、色もけばけばしく、いまいち。しっくりくる印刷のものは、あっても高すぎた。それに作品数が膨大だから、どの本も自分が見たいと思うやつが何かしら欠けている。だから結局何も買わなかった。


今、浮世絵が面白い! 6 歌川国芳 (Gakken Mook)

本屋で見た限り、有名な作品から戯画、春画作品まで、ざっくり国芳を知るには、これが一番手頃でよさそうに思った。「相馬の古内裏」と「其まま地口猫飼好五十三疋」が綴じ込みでA4三枚分に印刷されているのもうれしい。ただ元データの解像度が悪いらしく、「相馬の古内裏」は線がぼやけている。人となりを伝えるエピソードが数ページの漫画にまとまっていたりと、ページ数も少ないし気楽に読めそう。


もっと知りたい歌川国芳―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

この本もよかった。この価格帯の本の中では、印刷があまりてかてかしていない。色もけばすぎず見やすかった。絵がたくさん載っているし、解説もくわしい。知りたいだろうことが網羅的にまとまっていてよさそうだった。


奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)

前から読みたいと思いつつ、読んでないから、定番のこの本をちゃんと読むのもいいかも。

とかなんとか考えつつ、最終的に何も買わなかったのは、ネット上に詳細な画像が公開されている気がしたから、というのもある。調べてみると案の定、膨大な数の浮世絵画像を集めたサイトがすぐにみつかった。

その名も「Japanese Woodblock Print Search - Ukiyo-e Search」。なんと世界各地の美術館などが公開している浮世絵画像が22万3千枚以上集められている。国芳だけで、1万枚以上。すごい。早稲田大学演劇博物館にも浮世絵閲覧システムがあり、日本語でさまざまな条件を指定して作品を検索できる。

正直、パソコンのモニターでこれら浮世絵画像を見ている方が、図録でてかてかした印刷の小さく縮小された浮世絵を見るより、よほど実物に近いと感じる。

ひとつ不思議なんだけど、展覧会場で、なんで大判実寸大の浮世絵を売らないんだろう。ちゃんと版木で刷ったやつじゃなくて、ぺらぺらのふつうの紙にカラー印刷しただけの、安っぽいものでいいから、一枚100円かせいぜい200円ぐらいで売ってくれたらいいのに。そしたら気に入ったやつだけ、よろこんで買って帰ったと思う。大判三枚の大作なら三作品でもう9枚。展覧会で実物をみた興奮冷めやらぬタイミングなら、ほいほいと調子に乗って買ってしまい、すぐに図録と変わらない出費になると思う。昔の紙に似た少々特殊な紙を使ったとしても、余裕で儲けが出そうだ。

世界に広がる浮世絵の歴史と広がり|くもん子ども浮世絵ミュージアム」によると、浮世絵が売られていた当時、大判一枚が20文で、今の価値に換算すると400円程度だったそうだ。高くとも、それよりは安く、浮世絵の複製を買えたなら、浮世絵展で、浮世絵を買い求めた江戸庶民の気分まで味わえて、いいんじゃないかと思う。

いや、大判実寸大で何枚かほしかったんです。20枚ぐらいは買いたいのがあった。

相馬の古内裏

相馬の古内裏(天保(1830-44)後期)。がしゃどくろみたいな骸骨がおどろおどろしくかっこいい。本当は何百もの骸骨が襲ってくるらしいんだけれど、それをこう変えてしまうセンスがすごい。ただ残念なことに、これは前期のみの展示で今回は見られなかった。

まるで現代漫画家!

大判三枚を連ねた国芳の大作は、奥行きのある構図と視線誘導が巧みで、まるで現代漫画家のセンスだ。

源頼朝公富士之裾野牧狩之図

たとえば、源頼朝公富士之裾野牧狩之図。この画面左上にはじきとばされているお侍がすばらしい。この人がいなかったら全然つまらない絵になってしまう。

画像ではつぶれてみえないが、奥の草原でも画面右から画面左へ猪が追い立てられている。そして手前に画面左上から右下へ豪快に坂を駆け下る猪。斜面と砂埃の線がまるで漫画の効果線だ。その先には少し身構える頼朝公がいる。駆け下りる猪につられて移動して来た、絵を見るものの視線は、頼朝に受け止められる。ところが、頼朝で視線が止まると、今度は中空にはじき飛ばされたお侍が気になってしまう。お侍に視線を移すと、画面奥で追い立てられている猪が目に入る。奥の猪を追って右から左、手前の猪で左から右、そして頼朝。画面上を視線がぐるぐる回遊し、不安定な姿勢やねじれた手足が、動きの途中にある身体を見事に表現していることもあって、画面の中の人やものが生き生きと動き出す。大判三枚続の実物を見るとよりその効果を実感できる。

いやーすごい。おもしろい!

頼朝公御狩図

頼朝公御狩図(1842-43)。国芳は同じ画題をいくつも描いているようなんだけど、これは猪を手前に配し、大胆に大きく描いた迫力ある一枚。この絵でも右上でつぶされているお侍がなんとも滑稽で、視線誘導のいいポイントになっている。画面奥でもあちこちで何かが起こっていて、見ていて楽しく、飽きない。

「摂津守源頼光」「滝口内舎人渡辺源治綱」

こちらは頼光達が酒呑童子の首をとる場面を描いた武者絵(嘉永1(1848) )。上画像よりリンク先の方が大きな画像なのでぜひそちらも見てほしい。

酒を飲まされ、今まさに酒呑童子が人間の姿から鬼の姿へ変わろうとしているところを、顔の右側を人間の顔に、左側を鬼の顔に描くことで、巧みに表現している。漫画と同じく「右から左へ読む」と、まるでモーフィングCGみたいだ。一つの絵の中に、時間の流れが描かきこまれている。現代漫画家でもこんな表現ができるひとはそうはいないんじゃないか。

清盛入道布引滝遊覧悪源太義平霊討難波次郎

清盛入道布引滝遊覧悪源太義平霊討難波次郎(1825)。集中線! ベタフラ、雷フラッシュ! 江戸時代にこれ。まいりました…。

堀部矢兵衛金丸

堀部矢兵衛金丸(1852)。そしてこのキャラデザ。初めて実物を見た。浮世絵概念ひっくり返った。

ということで、ジンジャくん(@jinja_khmoan)には、心より感謝申し上げる次第でございます。あのよろし。

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