2009年3月18日(水)
ハイヴリッドで公開した「Blossoms」のこととか、コミティア出張編集部で酷評されたこととか書いています(^^;。
- (2009年3月18日(水) 午後5時32分53秒 更新)
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Blossoms
コミックサイト・ハイヴリッドドットコム で、「Blossoms」を公開しました。世阿弥の「西行桜」を下敷きにした、春の夜の不思議な出来事のおはなしです。
といっても、主人公はさして驚きもしないし、淡々としています。もともとの「西行桜」がそんなかんじだし、夢の中にいるときは、とんでもない展開でもけっこう淡々と受け止めてますよね。「夢」ってそういうものだろうと思って、淡々とした演出にしました。
で、このマンガ、正直評判はあまりよくないです(^^;。京都観光ガイドマンガならあり? みたいな感想が多くて凹みました...。
コミティアの出張編集部で、何人かの編集さんに見ていただきましたが、共通して、主人公の感情に起伏が見られずどのキャラにも感情移入できないことを指摘されました。
もともと、千年の昔から桜の名所が受け継がれていることに対する畏敬の念や、桜を愛でるということについて思うことを描きたかったので、キャラに感情移入させようとは全然考えていませんでした。だから、キャラに魅力がないのは当然といえば当然なのですが、特に商業を意識する場合は、もっとキャラの魅力を高めないとだめですね(^^;。
次は、魅力的なキャラクターの成長を描きながら、物語の底流に隠されたテーマをしのばせるってかんじに描けるようにしたいです!
今回は、最初にページ数を16ページと設定したので、小さくまとめようとしすぎて失敗したかんじもします(当初は最初のページが無かったのですが、主人公の感情をもうちょっと出した方がいいという感想が多かったので、1ページ追加しました)。
コミティアの創作同人を見て回るとき、個人的には、壮大な世界観の断片をリリカルに見せる作品よりも、その作品で完結している作品の方を好んで選んでいます。
でも、商業誌の編集さんは、ストーリーのおもしろさに加えて、キャラや世界観をかなり重視しますね。
「Blossoms」はストーリーに関しては「感情に訴えることが何も起こらず評価以前のレベル」という厳しい評価でしたので、もはやぐぅの音も出ないかんじですが、ちょっと興味深かったのは、どの編集さんも連載の可能性について言及されたことです。
「この変な桜の精が、いろんな人と夢を通じて交流する話なら、続けられないこともないか...」というようなことをブツブツ言う編集さんが何人かいました。そんなこと考えもしなかったので、実のところびっくりしました。
商業を意識してマンガを編集部に持ち込むなら、キャラの魅力がわかりやすいことに加えて、次へつながる余地を残すことも強く意識した方がよさそうですね。終わり切っちゃったらそれ以上の商売にはならないわけです。
技術的な点では、同じ大きさの同じ向きの顔が連続していて、マンガとしてのリズムが平板であること、ごちゃごちゃと線が多過ぎ余白を効果的に使えていないこと、などを指摘されました。
ある編集さんによると、コマ割りのリズムは、少年誌が基本三段、青年誌が基本四段なのだそうです。それを三拍子、四拍子になぞらえて、基本リズムをベースに、どう自分のリズム、音楽を作るかなんだ! 君自身のリズムを作りなさい、と熱くご指導くださいました。なんだか目からウロコのお話でした(^^;。
絵コンテ段階でもっと視線誘導やリズムを考えなければならないですね。
このマンガは、このマンガの前に描いたマンガで試してみた、デジタルのブラシでアナログっぽい表現をする方法をさらに深めること、その方法によって背景のレベルをあげること、現状の問題点を洗い出すこと、などを技術面での目論見としていました。その目論見自体は達成できたように思います。
このマンガ描いてみて、あれこれ言い訳してちまちま描いている場合じゃないな、つくづく思いました。ここはなんとしても、中二病炸裂で、描きたいものを思う存分描くべきですね! というわけで、次はそんなかんじでマンガ描こうと思ってます。
ちなみに、上記のように僕がコテンパンに打ちのめされているまさにその隣で「えっと、今どこか商業誌で描いてらっしゃるんですか?」「いえ」「なら、ぜひすぐにでもうちで描きませんか? お住いはどちらですか?」「えええ!本当ですか!(感激)」なんて会話が繰り広げられとるわけです(本当)。おそろしいとこです。コミティア出張編集部...(´・ω・`)。
「Blossoms」の一場面から。デジタルによるアナログ的な表現の実験と、背景をしっかり描くことを目標にしていました。
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