2013年4月20日(土)第6回 エコール・ド・東山 に行ってきた

第6回 エコール・ド・東山

クリムトのファッションとか、京都の刺繍とか

前回おもしろかったので、京都まで行ってきた。

本日の一本目は古川真宏さんの「クリムトのファッション」。クリムトなどウィーンの芸術家たちと、19世紀末から20世紀初頭にかけてのヨーロッパファッションとの関わりを、超駆け足で概観する一時間。以下適当にまとめます。

19世紀の末頃のヨーロッパ女性のファッションというと、コルセットで腰を締め上げ、キュ・ド・パリ(パリのお尻)と呼ばれたスカートの後ろを丸く膨らませる腰当てを仕込むなど、女性らしい体型を過剰に誇張した服装で、当時医師らによってその服装が女性の肉体に相当な無理を強いることが問題視され始めていたらしい。やがて婦人改良服運動が起こり、新しい女性の服装が模索されるようになる。だが、その過程で生まれた「改良服」は病院服のようだと言われ、受けが悪かった。なにより女性的エロが全然足りないではないか!むっふぅ。

クリムトが登場したのはそんな時代だった。彼の絵に登場するガウンや古代のチュニックのようなファッションは、新たなエロの提案でもあったのだ。彼らはファッションデザイナーの嚆矢だった。クリムトは、自身も常に古代のチュニックみたいなのを着ていたそうな。ギリシアやローマへの憧れみたいなのもあったのかなあ。な、セクシーやろ、しかもローマっぽくて高貴なかんじするやろ、どや?みたいな。

時代背景や当時の芸術運動を知ると、描かれたファッションが違って見えてくるね。新しい時代を切り開かんとするファッションステートメントそのものと見ることもできるわけだ。ほっほう。

二本目は松原史さんの「ヨーロッパを魅了した京都の刺繍」。着物が似合うきれいな方でした。たまたま目にした近代刺繍の工芸品に心奪われ、足掛け6-7年京都の刺繍を研究してきたとのこと。

近代刺繍史には空白の時期があるという。それは明治大正、まさに日本が世界にデビューしたころ。そのころの日本は輸出産品の開発に国を挙げて取り組んでいて、刺繍も西洋受けする有力な商品として期待されていた。一方で、大名などそれまで刺繍を支えていた有力なパトロンが没落し、刺繍業界もまた新たな市場を必要としていた。

そして西洋受けを狙った江戸時代とはまったく趣の違う刺繍が生み出されていくわけなんだけど、資料に高島屋がたくさん登場するのがおもしろかった。今調べたら(Wikipediaだけど(笑))、高島屋は「1831年(天保2年)、京都で飯田新七が古着・木綿商を開」いたことに始まるのだそうで、なるほど京都の刺繍と縁が深いのですな。

いやー、明治大正の刺繍はたしかにすごかった。写真や西洋のポストカードを元絵にしているので、江戸時代と打って変わってやたら写実的。写真とみわけがつかない。まったく同じ色の糸を使いながらと糸のよじり方かなにかで?色合いを変えるとか、微妙なグラデーションをつけるとか、素人にはちょっと想像つかない超絶技巧のオンパレード。といってもそれをスライド写真で見るほかないわけですが。松原さんが世界中に問い合わせて調べたところによると、存在が確認された明治大正の刺繍は全部でたったの180点。うち日本に残っているのは60点ほどだそう。そりゃ見ることかないそうもありませぬ。

それでも、こんな目をキラキラさせながらいかにすばらしいかってなことを楽しそうに語ってる人みたら、自分も見たくならないわけないじゃない? どこかで見れないか後で聞いてみたんだけど、やっぱりなかなか見れないんだって。なんとまあ。

伊右衛門カフェの上?か近くに飾ってるのがあるかもとか言ってはったような。あと、清水三年坂美術館の方が刺繍をコレクションしようとされている?そうで、ひょっとしたらそのうち展示があるかも、とのこと。チェケラウ!

その後茶話会は続いていたようだけど、某店長と打ち合わせがあったので早々においとましました。次回は5月18日。でもコミティア前日なので次回はやめとくことにした。ちなみに次回登壇される研究者の方も聴講に来てたんだけど、やせているころのうちの弟に似ていた。「ちょ、おま、なんでいんの? しかもやせてる。」って一瞬思った。でも彼もまた「なんで兄さんここにいんの?」って思ったかもしれないからきっとおあいこです。

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