2013年4月26日(金)ボストン美術館展に行ってきた
大阪市立美術館でやっている「特別展 ボストン美術館 日本美術の至宝」を見に行ってきた。
- (2013年5月9日(木) 午後5時40分50秒 更新)
- Tweet
最近なにかと話題の大阪市立美術館。
ボストン美術館展 極私的ベスト5!
去年から楽しみにしていたボストン美術館展、やっと行ってきた! これはすごい。とにかくすごい。でも意外と空いてて、並ばずに入れたし入場制限をしているようすもなかった。長谷川等伯展並みもあり得るかと思っていたから、めっちゃ気合い入れて朝9時前に天王寺公園に着いたんだけど、天王寺公園は9時半にしか開かないというワナ。でもこれ、もし混んでても入り口からダッシュしたらおじさまおばさま追い抜けるね。
会場スタッフの方によると平日午前中は比較的空いているとのこと。実際朝9時半過ぎに入ったら、どの展示も他の人をじゃまに感じることなく、ゆっくり見ることができた。絵巻物もじっくり独り占め状態で見られた。さすがに二周目回るころには人が多くなっていて、特に絵巻物のところで渋滞が起こっていたけど、二列目から覗き込む分にはすっと回れる。それにしても絵巻物でじっと動かない人は延々いったい何を見ているんだろう。謎過ぎる。それとも人それぞれ見たいところが違うから、立ち止まるポイントが微妙に違っていて、それで結果的に渋滞するってことなのかな。二周目では後ろから見たいところだけ覗き込みつつ、最初に見た時頑として動かないおじさまおばさまがいなくて本当によかったって思った。
ちなみに大阪市立美術館の展示は入り口でチケット見せて、一階中央ホールからぐるっと一階を一周回って最後にまたホールに戻って来るので、さあもう一周ってやりやすい。結局三周回った。二周回って帰ろうかと思ったら、見所講演というのをやり始めたからそれを見て、せっかくなので最後にもう一周。見所講演ではボストン美術館と大阪市立美術館を比較しつつ、大阪人の先進性を持ち上げるという、ちょいちょい涙ぐましいアピールが…。アレなひとの炎上マーケティングに振り回されてほんまたいへんですなあ…。
体感的に正倉院展よりずっと空いていたと思う。外に雨天時入場待ちの人を並ばせるためのテントが用意されていないところを見ると、今のところは入場を制限する事態は想定されていないんでしょう。まあ、東京はじめ全国回って既に百万人が見たらしいし、各会場の会期が長めなので、こんなものなのかもしれない。しかしボストン美術館ってば太っ腹。よくこれだけの長期間これだけのものを貸してくれたよ。里帰りだからかな。
さ、前振りはこのくらいにして、ではさっそく極私的トップ5、発表したいと思います☆
入り口で30分待ちぼうけ。遠足の小学生が楽しそうにしていた。はい、そしたらね、これから公園に入るまで少しあるから、水筒のお茶、ちょっとだけ飲んでもええよ。いい? ちょっとだけやで? がぶがぶがぶぅって飲んだらあかんよ。あとでほしなっても困るし、おしっこいきたなっても困るやろ? はい、わかったひと! はーい。ってなことをやっとりました。
ダッシュで入場。あれが新世界や!
第1位! 尾形光琳「松島図屏風」
今回の目玉、修復なったばかり、全世界初公開の曾我蕭白「雲龍図」を抑えての極私的第1位は尾形光琳「松島図屏風」! いやー、この色使いのモダンさ。構図のかっこよさ。抜群のセンスだ。そしてこの立体感! 屏風の折り目を計算し尽くした構図が奥行きを感じさせ、視点の移動とともに波が本当に渦巻いて見える。元ネタの俵屋宗達作品よりもずっと洗練されている。このあたり、写真では伝わらない屏風絵ならではのおもしろさだと思う。
第2位! 曾我蕭白「雲龍図」
やっぱりこの迫力はすごい。大胆! 迷いの無い筆遣いが気持ちいい。か、かっこいい。目だけは丁寧に書かれていてよく見ると黒目の中にちゃんと瞳孔が書いてある。
図録から引用。龍は一匹だったのか二匹だったのか。どう見ても4面か8面失われているのが本当に惜しい。
曾我蕭白「雲龍図」の絵はがき(150円)を100円ショップの額に入れてみた。いい! 計250円とは思えぬ。
第3位! 平治物語絵巻 三条殿夜討巻
これはびっくりした。「吉備大臣入唐絵巻」も超能力で空飛んだり、下剤飲まされてうんこチェックされるも飲み込んだものを超能力でお腹にとどめたり、波瀾万丈というかユーモラスというか、漫画みたいでおもしろかったけど、「平治物語絵巻 三条殿夜討巻」の迫力、臨場感、躍動感には参った。すごい。絵巻物を一度に全部広げて見せてもらえるのは実はボストン美術館収蔵品だからこそ。見所解説講座の先生によると、日本にあればこれらは間違いなく国宝なので、文化庁がこういう展示を許してくれないそうな。絵巻物見るたび「なんで一部だけ広げるんだろう?全部見せてくれればいいのに」って思ってた。文化庁が許してくれないのか。今なら昔ほど絵を痛めない照明とかありそうだけどだめなんですかね。
夜討ちを聞きつけ御所に駆けつける牛車。この突進する牛の躍動感! 車輪が猛烈に回転している様がぐるぐるした線で表現されている。漫画が生まれる遥か以前にこんな表現あったんだね。いろんなものが折り重なりながら、決してごちゃごちゃしていない。緊迫感溢れる画面に圧倒される。
公家を組み伏せ首をかっ切るリアルさ。縁の下に隠れているものがいないか確認する男の姿も。このすぐそばの井戸では屍が折り重なっていた。
第4位! 長谷川等伯「龍虎図屏風」
これもまた屏風の特性を生かした立体感が際立つ作品。特に右側の龍は、頭と首が折り目の山側にあって、にゅっと首が突き出した様子が生々しいほど立体的。左側も折り目によって手前の崖と谷間を吹く風の遠近が強調されて、画面にいっそうの奥行きを感じさせる。
左隻の虎。
右隻の龍。
第5位! 曾我蕭白「風仙図屏風」
曾我蕭白は、絵として好きかと問われれば、そんなに?ってかんじなんだけど、彼の奔放な絵は見ていて楽しい。絵師っていうか漫画家ってかんじだ。漫画風に言えば効果線の使い方がうまいし、キャラのふざけたデフォルメも最高。この絵も、龍かなにかの本体は画面の上に飛び出してしまっていて、まるでストーリー漫画の途中の見開きページだけを切り出したかのよう。そのうえキャラの表情が今のギャグ漫画よりぶっとんでる。
渦巻いた龍のしっぽ?の真ん前あたりで少し離れたところから見るのがおすすめ。屏風の折り目の効果で、従者がすごい勢いで向こうへすっころんでいくようにみえる。
曾我蕭白は款記も独特。これは別の絵のだけど、三十代後半ぐらいから明らかに調子に乗っている。毎回款記の字体が違うし、字がドヤ顔しとる。おもろい。
見所満載の展覧会
日本絵画を奈良時代から近代まで、これだけの質と量で振り返ることができる展覧会はめったとないと思う。かっこいい近世絵画萌えなので、ベスト5には入れなかったけど、奈良時代平安時代の仏画もすごいの来てますから。快慶さんの金ぴか弥勒様もいるよ! 日本ではまずこういう修復をしないので往時の金ぴかさを彷彿とさせる修復ぐあいが新鮮。若冲もいます(でも若冲なら細見美術館のコレクションの方がはるかにいいから今回はベスト5にいれなかった)。
大阪市立美術館での展示は6月16日まで。会期終了間際にはおそらくものすごく混雑すると思うので、お早めに空いてる午前中のうちにどうぞ。大阪が終われば、もう日本での展示は終わり。次回はいつになるかわからない。少なくとも10年は来ないお宝ばかり! 僕はもう一回行く予定です。チケット買ってある。
なんかファンタジーやわー。
イェイイェイ! 江戸時代ノリノリだぜ!
慶沢園をぶらぶら
住友さんに敬意を表して慶沢園を散歩してきた。東屋もあってゆっくり休める。へええ、都会の真ん中にこんな日本庭園があったんだね。市立美術館の裏側だから、気づかなくていつも素通りしてた。
慶沢園から市立美術館を望む
そびえ立つ あべのハルカス。高さ300mで横浜ランドマークタワーを抜き日本一だそうですよ。なんとなくぴんとこない。生駒山の上あたりから見た方が、おお、高いなって思いそう。ただ、この後ひさしぶりに Hoop に寄ってみたんだけど、and に移った Loft と 無印の跡地が地方都市の駅前モールの上階みたいなありさまになっていて、閉店間際の奈良ビブレ メンズファッション階というか、こんなにいろいろ作って大丈夫なんかなって思った。Q's Mall はイオンじゃないけど、でっかいイオンみたいでぱっとしないし。
阿倍野で食べるところに悩んだら sangmi
阿倍野で食べるところに悩んだら 実身美 sangmi です。女子率ほぼ100%。男子がいてもたいてい彼女に連れられてきた文科系男子に限られます。だがそんなことは知らない。気にしない。おっさんだからって、みながみな、酒とたばことこってりが好きだって思うなよ! カウンターもあるしおっさん独りでも全然だいじょうぶッスよ?
実身美 sangmi は、天王寺駅から南へ(道を挟んで西側の Q's Mall の南端あたりまで)てくてくけっこう歩いたところにある。いつも数人は並んでいてすんなりとは入れない。
日替わり定食はお昼は861円。夜は997円。おいしくて安くて健康的。もちろん禁煙! すばらしいと思います☆
日替わりヘルシー玄米定食。たいへんおいしゅうございました。
Map.
Comments.
Trackbacks.
更新情報
Recent Entries.
-
2017年8月24日(木)
-
2017年8月24日(木)
-
2017年8月23日(水)
-
2017年8月22日(火)
-
2017年6月12日(月)
-
2017年3月29日(水)
-
2016年10月30日(日)
-
2016年10月29日(土)
-
2015年12月22日(火)
-
2015年10月25日(日)