2014年11月13日(木)国宝鳥獣戯画と高山寺
あまりの行列に長らく見に行く気力をくじかれてきたけれど、積ん読本を片手に、ようやく見に行って来た。
- (2014年11月14日(金) 午後11時10分52秒 更新)
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明治古都館正面入口。ここからは上がらず一度建物の右へ回って、15人ずつ車いす用スロープを上がる。
のびのびと勢いのある筆づかいが見ていて超楽しい!
午後3時20分に並び始めて、その時点で入館までに90分の表示が出ていたけれど、実際には70分ほどだった。思ったよりも順調に列が動き、本一冊読み終わるほどの時間はなかった。さらに中の「甲巻」展示室でも30分は待ったと思う。そのあと乙巻、丙巻、丁巻、ごとにまた行列。たぶん入館前と合わせて120分は行列の中にいた。
それでもこれは見に来てよかった! 実物大の肉筆というのはこうも情報量が多いのかと思う。のびのびと勢いのある筆づかいに、見ているこちらもうきうきしてくる。ろくに下書きがなさそうなのに、うまい。線の強弱も絶妙。どうしてあんな線を一発で書けるんだろう。よほどたくさんの絵を書いてきた絵師なのだろうと思う。
それにしても一瞬も立ち止まれないプレッシャーがすごかった。行列に耐えて、ようやっと鳥獣戯画の前にたどりついてみると、今度は自分の後ろからのプレッシャーがものすごい。蛇行しながら会場を埋め尽くす人の列が無言の圧力をかけてくる。全然ゆっくり見られない。とてもじゃないけど一瞬も立ち止まれなかった。できることならもっとじっくりみたかった。
展覧会行くと、一周回った後気になる作品を見に戻ったりして、だいたい二三周する。でも今回はそれが無理だった。蛇行する人の列が壁となって、鳥獣戯画より前の部屋へ戻ることを許さない。あの人波をかき分けて逆行する勇気はなかった。こんなのは初めてだ。中に人の壁があるなんて、長谷川等伯展でも若冲展でもなかったよ。
Wikipedia の「鳥獣人物戯画」の項目によると、鳥獣人物戯画は「現在は甲・丙巻が東京国立博物館、乙・丁巻が京都国立博物館に寄託保管されている」らしい。ひょっとすると、そのうちしれっと東京国立博物館や京都国立博物館で、バラバラに平常展示されそうな気もする。ただ、いいやつ(甲・丙巻)は東京国立博物館みたいだ。とまれ、また何かの展覧会で出てきたらゆっくり見たいな。
ご覧いただきたい。このお猿さんたち、のりのりである。作品画像は展覧会図録から。少々高めだけど、鳥獣戯画本としても内容充実で買って満足できた。
行列の最後尾は建物右側に回り込んだところにあった。そこから建物の真正面へ向かい、正面入口からもう一度建物の右端へ回り、車いす用のスロープの手前で、一定時間ごとに15人ずつ入館を許される。
外に出ると既に閉館時間の6時を過ぎ、まっ暗になっていた。まだ館内にはたくさんの人がいた。入館した人が見終わるまで、しばらく延長しているようだった。
高山寺の名宝もみどころ
高山寺に伝わる名宝にも、興味深いものが多かった。明恵上人は東大寺で華厳宗を学んだとのことで、南都との所縁を感じさせる品が、いくつも残されている。
輪宝羯磨蒔絵舎利厨子。笠置寺の解脱房貞慶上人から受け継いだと伝えられる舎利を収める。
春日明神は明恵上人のインド渡海を夢でいさめたことがあるそうで、そのこともあって、日本で仏法を求め続けた明恵上人は、春日明神に深く帰依していたという。この絵は明恵上人が生きた時代からやや下り、14世紀に描かれたものと見られている。セットになっている住吉明神にあわせたのか、本地仏ではなく初老の男性として描かれているのが興味深く思った。法衣の上に袈裟を羽織るあたりに、神仏習合が見て取れる。
華厳宗祖師絵伝 義湘絵。新羅の高僧義湘が唐に学び故国へ帰る際、彼に恋心を抱いていた善妙が、新羅へ向かう義湘の船を追い、この身がお役に立てるならと自ら海に身を投じて、龍に姿を変え、新羅にたどりつくまで義湘の船を守る、という、一大スペクタクル。会話が画中に書き込まれていて、今の漫画のよう。巻物が展示してある部屋の中央には、義湘の持ち物を収めた箱を捧げ持つ善妙の、彩色の鮮やかな美しい木像があり、その凛としたまなじりには、押し殺した切ない恋心を感じずにはいられなかった。
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